OVERTURE ASA フィラメント (Blue) レビュー
OVERTURE ASA フィラメント (Blue) を3Dプリンターで試してみました。このフィラメントは、その高密度、寸法精度+/-0.03mm、そしてUV/雨/耐熱性といった特性から、特に屋外機能部品の印刷に最適と謳われています。今回、実際にいくつかの造形物を印刷し、その性能を評価しました。
開封と第一印象
スプールはしっかりと梱包されており、1kgというボリューム感も十分でした。カラーは鮮やかなBlueで、光沢感も期待できそうな印象です。フィラメント自体も、1.75mmという標準的な太さで、表面に不均一な箇所は見られませんでした。
印刷設定と印刷プロセス
私の使用している3Dプリンターは Ender-3 V2 です。ASAフィラメントはABSに似た性質を持つため、エンクロージャーの使用が推奨されます。幸い、私のプリンターはエンクロージャーに入れて使用しているので、反りや層間剥離のリスクを低減できると考えました。
ノズル温度とベッド温度
メーカー推奨の設定を参考に、ノズル温度は230℃~250℃、ベッド温度は80℃~100℃で試しました。最初は230℃/80℃で開始しましたが、層間の接着性をより強固にするために、ノズル温度を240℃に、ベッド温度を90℃に調整しました。ASAはABSよりも若干高い温度帯で安定して印刷できる傾向があるようです。
冷却ファンの設定
ASAはABSと同様に、冷却ファンの設定が重要です。過度な冷却は層間剥離を引き起こす可能性があるため、印刷開始直後はファンをオフにし、その後徐々に風量を上げていく設定にしました。最終的には10%~30%程度の低めの風量で安定しました。
印刷速度
印刷速度は、品質と時間を考慮して40mm/s~60mm/sで設定しました。特に細部やオーバーハングが多いモデルでは、速度を落とすことでより良い結果が得られました。
印刷結果の評価
印刷された造形物は、表面の滑らかさ、積層痕の少なさ、そして形状の再現性において非常に高い品質を示しました。特に、寸法精度+/-0.03mmという謳い文句は伊達ではなく、複雑な形状でも寸法のずれはほとんど感じられませんでした。
UV/雨/耐熱性の検証(簡易的)
直接的な屋外での長期間の使用テストは行っていませんが、耐熱性については、印刷直後の造形物に触れても、変形しやすいような柔らかさは感じられませんでした。また、UV耐性についても、ASAの特性を考慮すれば、屋外での使用でも劣化しにくいことが期待できます。
強度と耐久性
ASAフィラメントの強度と耐久性は、ABSを凌ぐとされており、実際に印刷された部品は非常に頑丈です。力を加えても割れにくく、たわみにくい印象を受けました。これは、屋外で使用する機能部品や、ある程度の負荷がかかる部品の印刷に最適である理由を裏付けています。
反りや層間剥離
エンクロージャーの使用と適切な印刷設定により、反りや層間剥離はほとんど発生しませんでした。特に、大きめの造形物でも、ベッドからの剥がれにくさは顕著でした。ASAはABSよりも反りが発生しにくいとも言われますが、それでも適切な環境と設定は不可欠です。
まとめ
OVERTURE ASA フィラメント (Blue) は、高品質な印刷を求めるユーザーにとって、非常に満足度の高い製品だと感じました。特に、屋外での使用を想定した部品や、高い強度と耐久性が求められる機能部品の印刷には、最適な選択肢の一つと言えるでしょう。
印刷難易度は、ABSと比較すると若干高いかもしれませんが、エンクロージャーの使用や適切な温度設定、冷却ファンの調整といった基本的な対策を行えば、十分に扱えるレベルです。
Blue の色合いも美しく、造形物に深みのある色味を与えてくれます。
寸法の正確さ、優れた物性、そして美しい仕上がりを兼ね備えたこのフィラメントは、3Dプリンターの可能性を広げる素晴らしい素材です。
上の文章は個人的な感想です。下記サイトで正確な情報をお確かめください

