CC3D 透明PCフィラメント 1.75mm クリアポリカーボネート 1kg スプール レビュー
第一印象とパッケージング
今回レビューするのは、CC3Dから発売されている1.75mm径の透明ポリカーボネート（PC）フィラメントです。1kgのスプールに巻かれており、価格帯も比較的購入しやすい部類に入るため、以前から気になっていました。届いたスプールの第一印象は、「しっかりとした品質」といったところです。フィラメントは真空パックされており、湿気対策もしっかりされているようです。スプールの巻き癖も少なく、すぐにプリンターにセットできる状態でした。
印刷品質：透明度とディテール
このフィラメントの最も期待していた点は、その透明度でした。実際に印刷してみると、期待を裏切らない高い透明度を得ることができました。厚みにもよりますが、光をよく通し、内部構造などが視覚的に確認できるレベルの透明感です。これは、ランプシェードやレンズ、あるいは内部構造を見せたいような装飾品などの造形に非常に適していると感じました。また、ディテール再現性も良好です。細かい形状や表面のテクスチャも、比較的シャープに再現されます。ただし、PCフィラメント全般に言えることですが、積層痕はやや目立ちやすい傾向があります。これは、後処理（研磨など）である程度軽減できる範囲だとは思いますが、完全な鏡面のような滑らかさを求める場合は、追加の加工が必要になるでしょう。
印刷設定と難易度
ポリカーボネートフィラメントは、一般的にPLAやPETGに比べて印刷難易度が高いとされています。このCC3Dのフィラメントも例外ではありませんでした。まず、高い印刷温度が必要です。ノズル温度は270℃～300℃、ベッド温度は100℃～120℃といった範囲が推奨されます。これにより、高温に対応できるホットエンドと、十分な加熱能力を持つベッドが必須となります。また、定着性も重要で、ベッドのレベリングや、適切なビルドサーフェス（PEIシートなどが推奨されます）の選択が成功の鍵となります。
さらに、PCフィラメントは収縮率が高いため、エンクロージャー（筐体）の使用が強く推奨されます。エンクロージャーがないと、印刷中に反りが発生しやすく、最悪の場合、造形物がベッドから剥がれたり、印刷が失敗したりします。私も最初はエンクロージャーなしで試しましたが、やはり反りがひどく、複数回失敗しました。エンクロージャーを使用し、ベッド温度を適切に管理することで、ようやく安定した印刷が可能になりました。
印刷速度も、 quá nhanh（速すぎ）ると層間接着が悪化したり、フィラメントの吐出が追いつかなかったりする可能性があるため、ある程度遅めの速度で印刷するのが良いでしょう。冷却ファンは、PCフィラメントの場合は弱め（またはオフ）に設定するのが一般的です。これは、急激な冷却による割れや反りを防ぐためです。
素材の特性：強度と耐熱性
CC3DのPCフィラメントは、その名の通りポリカーボネート製であるため、非常に強力でタフな素材です。PLAやPETGと比較しても、高い耐衝撃性と優れた機械的強度を持っています。曲げやねじれにも強く、実用的な部品や機能性パーツの造形に適しています。また、PCフィラメントの大きな利点である高い耐熱性も健在です。100℃以上の温度にも耐えうるため、高温環境で使用される部品や、熱源の近くで使用されるものにも対応できます。これは、他の多くのフィラメントでは難しい領域であり、PCフィラメントならではの強みと言えます。
まとめ
CC3Dの1.75mm透明PCフィラメントは、高い透明度、優れた強度、そして良好な耐熱性を兼ね備えた、非常に価値のある素材です。ランプシェード、レンズ、機能性パーツなど、その特性を活かせる造形物は多岐にわたります。しかし、その優れた特性の代償として、印刷難易度は高い部類に入ります。高温設定、エンクロージャーの使用、そして適切なビルドサーフェスといった、PCフィラメント特有の印刷環境の準備が不可欠です。もし、これらの環境を整えることができ、かつPCフィラメントの特性を必要とするのであれば、CC3Dのこのフィラメントはコストパフォーマンスに優れた選択肢となるでしょう。初心者の方には少しハードルが高いかもしれませんが、PCフィラメントの利用経験がある方や、より高品質で機能的な造形を目指す方には、自信を持っておすすめできるフィラメントです。
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