eSUN ABS PRO ラピッド3Dプリンティング フィラメント (イエロー) レビュー
開封と第一印象
今回レビューするのは、eSUN ABS PRO ラピッド3Dプリンティング フィラメントのイエローです。1KG/2.2Ib、1.75mmスプールという標準的な仕様で、パッケージもシンプルながら信頼性を感じさせるデザインでした。開封してまず手に取った感触は、思ったよりも硬質で、ABS特有のしっかりとした素材感があります。イエローの色合いは、鮮やかすぎず、かといって暗すぎず、造形物に温かみと視認性を与えてくれるような、バランスの取れた色だと感じました。スプールへの巻き取りも綺麗で、糸絡みの心配はなさそうです。±0.03mmという高い精度も期待させます。
高速印刷と冷却性能
「ラピッド3Dプリンティング」と銘打たれているだけあって、このフィラメントの真骨頂は高速印刷にあると言えるでしょう。手持ちのFDMプリンターで、普段より高速な印刷設定を試してみました。驚いたことに、造形速度を上げても、レイヤー間の接着性や表面の滑らかさに大きな劣化は見られませんでした。これは、高速冷却性能の高さに起因するものと思われます。ノズルから吐出されたフィラメントが、迅速に冷却・固化することで、高速移動時でも形状が崩れにくくなっているのでしょう。これにより、これまで諦めていた高速印刷が現実のものとなり、造形時間の短縮に大きく貢献してくれました。特に、複雑な形状や細かなディテールを持つモデルの印刷において、その効果は顕著でした。
高い靭性と耐久性
ABS PROのもう一つの特徴は、より高い靭性です。従来のABSフィラメントに比べて、造形物が割れにくく、衝撃に強くなったという印象を強く受けました。実際に、印刷した部品を少し力を入れて曲げてみましたが、簡単には破損しません。これは、屋外での使用や、ある程度の負荷がかかる用途での3Dプリントにおいて、非常に重要な要素です。例えば、試作品や実用的なパーツの製作において、この靭性の高さは、造形の成功率を上げ、完成品の耐久性を向上させることに繋がります。また、ABS特有の糸引きも、他のABSフィラメントと比較して少なく、後処理の手間も軽減されました。
印刷設定と互換性
このフィラメントは、ほとんどのFDM 3Dプリンターと互換性があるとされていますが、実際に使用してみても、その言葉通りだと感じました。特に設定に悩むことなく、普段使用しているABSの設定に近い条件で印刷を開始できました。推奨印刷温度は230-250℃、ヒートベッド温度は80-110℃と、一般的なABSフィラメントと同様の範囲ですが、高速印刷を考慮すると、やや高めの温度設定が効果的かもしれません。ただし、プリンターの性能や周囲の環境にも左右されるため、最初は推奨範囲内でテスト印刷を行い、徐々に調整していくのが良いでしょう。ビルドプレートへの定着性も良好で、剥がれる心配はほとんどありませんでした。ABS特有の匂いについては、換気の良い場所での使用が推奨されますが、特別強いと感じることはありませんでした。
イエローの表現力
今回選んだイエローは、どのような用途にも使いやすい色味だと感じました。単体で造形しても、明るくポジティブな印象を与えくれますし、他の色のフィラメントと組み合わせることで、アクセントとしても活用できます。例えば、ミニチュアの小道具や、子供向けの知育玩具などに使用すると、その鮮やかさが活きるでしょう。また、表面の光沢感も程よく、塗装前の下地としても適しているように思えます。ABS PROの持つ高い精度と相まって、イエローという色で、より洗練された造形物を作り出すことが可能になります。
まとめ
eSUN ABS PRO ラピッド3Dプリンティング フィラメント（イエロー）は、高速印刷、高い靭性、そして良好な互換性を兼ね備えた、非常に優れたフィラメントです。特に、造形時間を短縮したい、より耐久性のある造形物を作りたいと考えているユーザーにとって、有力な選択肢となるでしょう。イエローの色合いも、汎用性が高く、様々な用途に活用できます。±0.03mmという高精度も、細部までこだわった造形を可能にします。ABSフィラメントの入門用としても、上級者向けのアップグレード素材としても、自信を持っておすすめできる製品です。
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