BASF Ultrafuse TPU64D-Black 2.85mm TPU-2208B075：柔軟性と耐久性を兼ね備えたTPUフィラメントのインプレッション
BASF Ultrafuse TPU64D-Black 2.85mm TPU-2208B075は、3Dプリンターユーザーの間で注目を集めているTPUフィラメントです。その名の通り、TPU（熱可塑性ポリウレタン）をベースとした材料であり、高い柔軟性と耐久性が特長とされています。今回、このフィラメントを実際に使用し、その性能や使い勝手について詳細なレビューをまとめました。
外観とパッケージング
届いた製品は、BASFのロゴが配されたしっかりとした箱に梱包されていました。フィラメントは真空パックされており、湿気から守られていることが伺えます。スプールも丈夫な作りで、取り回しも容易でした。TPU-2208B075という型番も明記されており、管理のしやすさも感じられます。2.85mmという直径も、多くの3Dプリンターで標準的に使用されるサイズです。
印刷設定と印刷プロセス
印刷設定については、BASFの推奨設定を参考にしながら、自身の3Dプリンターに合わせて微調整を行いました。一般的にTPUフィラメントは、PLAなどの硬質フィラメントと比較して印刷が難しいとされることがありますが、このUltrafuse TPU64D-Blackは比較的安定した印刷が可能でした。
ノズル温度は220〜240℃、ベッド温度は60〜80℃が推奨されています。印刷速度は、20〜40mm/s程度に抑えることで、糸引き（ストリング）を最小限に抑え、積層痕の少ないきれいな表面を得ることができました。エクストルーダーの引き戻し（リトラクション）設定も重要で、TPUの特性上、過度な設定は糸引きを招きやすいため、慎重な調整が求められます。
Direct Drive Extruder（ダイレクトドライブエクストルーダー）との相性は非常に良く、フィラメントの送り出しもスムーズでした。Bowden Extruder（ボーデンエクストルーダー）でも印刷は可能ですが、フィラメントの柔軟性ゆえに、フィーダーへの負荷やフィラメントのたわみに注意が必要です。
造形物の特性：柔軟性と耐久性
このフィラメントの最大の魅力は、その柔軟性と耐久性にあります。印刷された造形物は、触れるとゴムのような弾力性を感じさせます。曲げたり伸ばしたりしても、破損することなく元の形状に戻ります。この特性は、ラバーダンパー、スマホケース、フレキシブルジョイント、プロトタイプなど、衝撃吸収性や柔軟性が求められる様々な用途に適しています。
また、耐摩耗性や耐油性にも優れているため、工業用途や実用的な部品の製造にも適しています。ブラックという色は、汚れが目立ちにくく、落ち着いた印象を与えるため、デザイン面でも使いやすいと感じました。
印刷時の注意点とコツ
TPUフィラメント全般に言えることですが、印刷中にフィラメントが絡まったり、エクストルーダー内で詰まったりするリスクがあります。これを防ぐためには、以下の点に注意すると良いでしょう。
* 印刷速度を抑える：前述の通り、ゆっくりとした速度で印刷することで、フィラメントの供給を安定させ、失敗を防ぎます。
* リトラクション設定の最適化：糸引きを最小限に抑えるために、適切なリトラクション距離と速度を見つけることが重要です。
* フィラメントの保管：TPUは湿気を吸いやすいため、開封後は密閉容器に入れ、除湿剤と共に保管することが推奨されます。湿気を吸ったフィラメントは、印刷中に「プチプチ」という音を発し、造形物の品質を低下させます。
* 冷却ファンの調整：TPUは冷却が早すぎると、積層間の接着が悪くなることがあります。冷却ファンの風量を調整し、適切な冷却を行うことが大切です。
まとめ
BASF Ultrafuse TPU64D-Black 2.85mm TPU-2208B075は、その優れた柔軟性、耐久性、そして比較的容易な印刷プロセスにより、TPUフィラメントの選択肢として非常に魅力的な製品です。特に、機能性を重視した部品や、実用的なアイテムの作成を考えているユーザーには、強くお勧めできます。676-8600という型番で検索すれば、購入情報も容易に見つかるでしょう。
印刷設定には多少の慣れが必要ですが、一度最適化してしまえば、安定した高品質な造形物を量産することが可能です。TPUフィラメントの利用を検討している方、あるいはより高度な機能を持つ造形物を作成したいと考えている方は、ぜひこのBASFのフィラメントを試してみてはいかがでしょうか。その性能にきっと満足いただけるはずです。
上の文章は個人的な感想です。下記サイトで正確な情報をお確かめください
