ダヴィンチSuper & Jr.ProX+専用 ABSフィラメント クリア RF10CXJP01D
ダヴィンチSuper & Jr.ProX+専用 ABSフィラメント クリア RF10CXJP01D レビュー
日々進化する3Dプリントの世界において、材料の選択は作品の仕上がりを大きく左右します。今回レビューするのは、XYZprintingから発売されている「ダヴィンチSuper & Jr.ProX+専用 ABSフィラメント クリア RF10CXJP01D」です。このフィラメントは、その名の通り、ダヴィンチSuper、Jr.ProX+といった特定の3Dプリンター専用に設計されており、クリア(透明)という特徴を持っています。
クリアフィラメントの魅力と課題
クリアフィラメントは、その透明性を活かした造形物が魅力です。光を通すことで、内部構造が見えたり、独特の雰囲気を持つオブジェを作成したりすることができます。例えば、ランプシェードや、中にLEDなどを仕込むためのケース、あるいは精密な機構部品を可視化するような用途でその真価を発揮します。しかし、クリアフィラメントは一般的に他の色のフィラメントに比べてプリントが難しい傾向があります。層間接着が悪かったり、表面に白濁が生じやすかったり、糸引きが発生しやすいといった課題を抱えがちです。
ダヴィンチ専用フィラメントとしての期待値
本製品は、XYZprintingの特定機種専用と謳われているため、そのプリンターの特性に合わせて最適化されていることが期待されます。専用設計という言葉は、ユーザーにとって大きな安心材料となります。特に、ABSフィラメントは、PLAなどに比べて高温でのプリントが必要であり、反りや歪みが発生しやすい材料です。そのため、プリンター側の温度管理やベッドの加熱性能、そしてフィラメント自体の品質が、プリントの成功率に直結します。この専用フィラメントが、それらの課題をどれだけ克服できているかが、評価のポイントとなります。
実際のプリントテストと感想
今回は、ダヴィンチSuperを使用して、このクリアABSフィラメントのプリントテストを行いました。まず、パッケージを開けた際の第一印象は、非常に均一で滑らかな表面でした。糸巻きも乱れておらず、品質管理が行き届いているように感じられます。
プリント設定は、XYZprintingが推奨するABSフィラメントの標準設定をベースに、クリアフィラメント特有の注意点を考慮して微調整しました。具体的には、ノズル温度をやや高めに設定し、ベッド温度も安定させることで、一層目の食いつきを良くすることを意識しました。また、冷却ファンの設定も、ABSの特性を考慮して、強すぎないように調整しました。
実際にプリントを開始すると、予想していたよりもスムーズに造形が進みました。特に、一層目のベッドへの定着は良好で、剥がれや浮き上がりといった問題は発生しませんでした。ABS特有の臭いは、換気を十分に行えば問題ないレベルでした。
造形物が完成し、取り外して確認したところ、全体的に表面は滑らかで、白濁もほとんど見られませんでした。クリアフィラメントでしばしば問題となる、層と層の間の隙間から光が漏れるような現象も抑えられており、比較的均一な透明度を保っています。ただし、非常に細かいディテールや、複雑な形状の部分では、ABS特有の糸引きがわずかに残る場面もありました。これは、クリアフィラメント全般に言えることかもしれませんが、 retraction(リトラクション)設定の更なる最適化で改善の余地があると感じました。
総評
ダヴィンチSuper & Jr.ProX+専用 ABSフィラメント クリア RF10CXJP01Dは、専用設計という強みを活かし、クリアABSフィラメントのプリントにおける難易度を、一般的に販売されている汎用フィラメントと比較して、かなり低減できていると感じました。特に、一層目の定着の良さや、白濁の少なさは特筆すべき点です。クリアな透明度を活かした造形物を、比較的安定して出力したいと考えているダヴィンチSuperまたはJr.ProX+ユーザーにとっては、非常に有力な選択肢となるでしょう。
もちろん、ABSフィラメントである以上、ある程度の換気や、反り対策は必要となりますが、このフィラメントを使用することで、クリアABSでの3Dプリントのハードルがぐっと下がることは間違いありません。今後の更なる活用が楽しみなフィラメントです。
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