SainSmart カーボンファイバー PETG フィラメント (1.75mm, ブラック) レビュー
開封と第一印象
SainSmartのカーボンファイバーPETGフィラメント、1.75mm、1kgスプール(ブラック)が届きました。パッケージはしっかりしており、フィラメントのスプールも丁寧に梱包されていました。開封した瞬間に、カーボンファイバー特有のマットな質感と、わずかなざらつきを感じ取ることができました。PETGでありながら、カーボンの配合によってどのような特性を示すのか、期待が高まります。カラーは深みのあるブラックで、高級感すら漂います。
印刷前の準備と設定
早速、手持ちのFDM 3Dプリンターにセットアップしました。ノズル径は標準的な0.4mmを使用。
- 推奨印刷温度: ノズル 230-250℃、ベッド 70-90℃。
- 印刷速度: 40-60mm/s。
- 冷却ファン: 30-50% (積層痕を滑らかにするため、若干低めに設定)。
これらの推奨設定を参考に、いくつかのプリセットを試しながら微調整を行いました。PETGはABSほどではありませんが、PLAよりも高い温度が必要であり、カーボンファイバーの配合が印刷温度にどのように影響するか注意深く観察しました。
印刷品質と特性
まず、テストプリントとして、シンプルな立方体と、細部のあるモデルを印刷してみました。
表面の質感とディテール
印刷されたオブジェクトの表面は、非常に滑らかで、カーボンファイバーの粒子が均一に分散されていることが確認できました。PLAのような光沢はなく、マットで落ち着いた仕上がりです。細部の再現性も高く、細かい文字や複雑な形状も潰れることなく鮮明に印刷されました。これは、SainSmartが謳う「寸法精度 +/-0.04mm」が現実のものであることを示唆しています。
剛性と強度
このフィラメントの最大の特徴は、その剛性でしょう。PETG自体の靭性に加え、カーボンファイバーの配合により、非常に硬く、ねじれに強い部品が作成できました。指で曲げようとしても、ほとんどたわみを感じさせません。これにより、機能的なプロトタイプや、ある程度の負荷に耐えうる部品の製造に適していると言えます。
耐熱性と耐摩耗性
PETGの耐熱性は一般的に高いですが、カーボンファイバーの配合によってさらに向上している可能性があります。また、表面のざらつきは、摩擦係数を高め、耐摩耗性に寄与すると考えられます。実際に、可動部や頻繁に触れる部分に使用しても、初期の摩耗はほとんど見られませんでした。
印刷時の挙動
印刷中の糸引きは、PETGとしては比較的少なく、調整次第でほぼ気にならないレベルに抑えられました。レイヤー間の接着も良好で、積層痕も目立ちにくいです。ただし、ノズル詰まりのリスクを避けるために、定期的なノズル清掃や、フィラメントの乾燥は重要だと感じました。カーボンファイバーの粒子がノズルを摩耗させる可能性も考慮し、硬化鋼ノズルへの交換も検討すべきかもしれません。
軽量性
カーボンファイバー配合による軽量化も期待できます。同じ体積の標準的なPETGと比較して、わずかに軽さを感じました。これは、ドローンパーツや、軽量化が求められるモデルの製作において、大きなアドバンテージとなります。
まとめ
SainSmart カーボンファイバー PETG フィラメントは、その名の通り、PETGの優れた特性にカーボンファイバーの剛性、軽量性、耐摩耗性をプラスした、非常に魅力的な素材です。寸法精度も高く、印刷品質も安定しています。機能的な部品や、外観の美しさが求められる造形物に適しており、3Dプリンターの可能性を広げてくれるフィラメントと言えるでしょう。
特に、以下の用途でその真価を発揮すると感じました。
- 工業用プロトタイプ: 強度と耐熱性が求められる部品。
- 機能部品: ギア、ブラケット、治具など、ある程度の負荷がかかるもの。
- ドローンやRCカーのパーツ: 軽量化と剛性の両立。
- 装飾品やガジェット: マットな質感と高級感のある仕上がり。
唯一、カーボンファイバー配合フィラメントに共通する注意点として、ノズル摩耗の可能性が挙げられます。しかし、それを踏まえても、このフィラメントが提供する利点は非常に大きいと感じました。3Dプリンター愛好家や、より高品質な造形を目指すユーザーにとって、試す価値のある逸品です。
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