eSUN ABS Plus 3Dプリンターフィラメント (グレー) レビュー
3Dプリンターを愛用している者として、新しいフィラメントは常に興味をそそられます。今回、私が試したのはeSUNのABS Plusフィラメント、カラーは落ち着いたグレーです。ABSフィラメントは、その強度と耐久性から多くのプロトタイピングや機能部品の造形に用いられていますが、一方でABS特有の反りや臭いといった課題も存在します。eSUNのABS Plusは、これらの課題を克服し、より高品質な造形体験を提供するという触れ込みで、期待を寄せていました。
開封と第一印象
届いたパッケージは、eSUNらしいしっかりとした箱に収められており、スプールは真空パックで鮮度を保たれていました。箱を開けると、グレーのフィラメントが綺麗に巻かれており、目視でもその均一性が伺えます。スプールの中心には、フィラメントの直径や材質、重量などの情報が記載されたラベルが貼られており、信頼性を感じさせます。
造形設定とテストプリント
今回のテストプリントでは、私の愛機であるCreality Ender 3 V2を使用しました。ABS Plusは、一般的なABSフィラメントと同様に、ある程度の温度管理が重要になります。eSUNの推奨設定を参考に、ノズル温度を240℃、ベッド温度を95℃に設定しました。ABS特有の反りを最小限に抑えるため、エンクロージャーの使用も検討しましたが、今回はまずエンクロージャーなしでテストしてみました。
最初のテストプリントは、標準的なキャリブレーションキューブです。プリント開始直後から、フィラメントの滑らかな吐出が確認できました。レイヤー間の接着も良好で、特に気になる糸引きもありませんでした。造形中は、ABS特有の臭いはありますが、以前使用した無印のABSフィラメントと比較すると、かなり軽減されているように感じました。これは、快適な造形環境を維持する上で大きなメリットです。
寸法精度について
eSUN ABS Plusの最大の特徴の一つは、その寸法精度 +/-0.05mm という点です。これは、精密な部品を造形する上で非常に重要な要素となります。テストプリントしたキューブをノギスで測定したところ、公称値に近い、非常に高い精度で仕上がっていました。特に、複雑な形状や嵌合部分を必要とするモデルの造形において、この精度は大きなアドバンテージとなるでしょう。
造形物の品質と強度
キャリブレーションキューブだけでなく、いくつかの機能部品も造形してみました。eSUN ABS Plusで造形された部品は、表面が非常に滑らかで、レイヤーラインも目立ちにくい印象です。ABS本来の強度と耐熱性はそのままに、さらに品質が向上しているように感じられました。ABS Plusという名称の通り、従来のABSよりも「プラス」の性能が実感できます。
手で触ってみても、しっかりとした剛性感があり、曲げたりねじったりしても容易には破損しません。これは、実際に機能部品として使用する際に、非常に安心できるポイントです。また、後処理としてサンディングや塗装も行いましたが、ABS Plusはこれらの加工もしやすく、綺麗に仕上がりました。
使用上の注意点
前述の通り、ABS PlusはABSフィラメントですので、ある程度の反りが発生する可能性があります。特に大型の造形物や、ベッドとの接着面積が小さい場合は、エンクロージャーの使用や、十分なベッド温度、そして必要であればビルドプレートの調整（例えば、PEIシートやガラスベッドに加えて、接着剤の使用など）を検討することをお勧めします。また、換気の良い場所での使用は、ABS特有の臭い対策として引き続き重要です。
1.75mm径という標準的な太さは、多くの3Dプリンターで問題なく使用できるでしょう。正味量1KG（2.2LBS）という量も、一般的な使用には十分な量です。スプールに綺麗に巻かれているため、プリント中に絡まる心配もありませんでした。
まとめ
eSUN ABS Plus 3Dプリンターフィラメント (グレー) は、期待を裏切らない高品質なフィラメントでした。優れた寸法精度、滑らかな表面仕上げ、そしてABS本来の強度と耐久性を兼ね備えています。ABS特有の臭いが軽減されている点も、ユーザーフレンドリーで好印象です。
もしあなたが、より高精度で信頼性の高いABSフィラメントを探しているのであれば、eSUN ABS Plusは間違いなく選択肢に入れるべき製品です。特に、機能部品のプロトタイピングや、精密さが求められる造形を行うユーザーには、その真価を発揮してくれるでしょう。グレーというカラーも、様々な作品に合わせやすい万能な色合いです。多少の注意点はありますが、それらを理解した上で使用すれば、満足のいく結果が得られるはずです。
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